会計業界の職員の移動は、他の業種に比べて頻繁になっている。
これ、常識。
成長している事務所では、特にこの傾向が強い。
所長が成長を支える組織の強化を言えば言うほど、職員は浮足立つ。
と同時に、試験勉強中の職員は仕事に全神経を集中することができない。
それだけに試験勉強に”理解”のある事務所を探そうとする。
浪人生活で試験勉強に集中できる環境は、そうそうあるものではない。
それが分かっているから、我慢して仕事を続けるのだが、やっぱり不満は募る。
結果、入所したものの、仕事に厳しいと辞めていく人も多くなる。
それが続くと、事務所歴も短期間で数件になってしまう。
単純に試験勉強のためという理由で退職しても、数が増えれば、雇い主も敬遠する。
まして、他の理由であれば、その内容によっては、採用はかなわないことも当然ある。
現状では、辞めた事務所に採用予定者から、個人情報を聞けない慣習がある。
不自由な世の中になったもので、本人からしか退職理由が聞けない。
採用側の判断は、履歴書と面接結果だけに頼ることになる。
所長の判断が試されることになるのだが、その結果に職員がとやかく言うことは出来ない。
しかし、履歴書に3か所以上の会計事務所の名前があると、まず”ちょっと待て!”のサイン。
これが4か所以上になれば、たぶんアウト。でも、4科目に合格していれば、セーフかも?
ますます売り手市場に慣れつつある会計業界だが、やはり科目合格もない渡り職員には厳しい。
なかにはお客さんを持ってくるから採用してほしいという渡り経験者もいるようだ。
こんな求職者は、次もまたお客さんを持って出ていくだろうから、多くの先生が敬遠。
いわば特殊技能を身に着けているわけだから、指導が必要ない人を取りたい意識はあるだろう。
でも、トラブルを起こして退職した人もこれまた、同じ間違いを犯す可能性がある。
一つの職場で一生を過ごす時代ではないが、同じ業界で数多くの仕事場を経験するのはどうか?
採用する側は、やはり慎重になるはず。個人企業であればあるほど、その傾向は強い。
”渡り”と言われるようになっては、いけませんね。どうでしょう?
事業承継支援室長
大滝二三男