税理士が税理士法により、禁止や停止処分を受けることがあります。
禁止は、資格の返上となり、税理士資格を将来も再取得することはできません。
ですから、この処分を受けると事務所は閉鎖され、そこに働く職員も職を失うことになります。
業務停止は、当然その期間中のみですから、期間が過ぎれば業務に復帰できます。
しかし、その間は税務に関する業務は、知人等の税理士に依頼する必要があります。
もちろん、職員は通常業務を行い、先生の半は押せませんから、他の先生が判を押します。
お客さんからは白い目で見られ、離れて行くお客さんもいますが、大半は残ります。
これは日ごろから業務を担当している職員が、そのまま業務を継続しているからです。
”お叱り”を受けている時間が過ぎれば、まあ、元に戻るということですね。
ところで、それよりも緊急事態は、先生の死亡です。
不治の病で、現場に復帰することが不可能という診断があった場合は、対応もできます。
後継者がいなければ、税理士会や親しい税理士に、先生が直接相談することもできます。
しかし、健康であった方が突然体調を崩し、後継者などを決めることもできずに、亡くなることも。
家人が事務所の業務を手伝っていれば、その方を中心に対処できます。
職員の中に所長の家族がいない場合には、承継話も簡単にはいきません。
しかも、本来税理士と顧客の関係は、一身専属、つまり先生が生きていなければいけません。
亡くなった途端に先生とお客さんとの契約は、消滅してしてしまいます。
こうなると、法律的には誰がお客さんと契約しようが、問題なしとなります。
通常は四十九日までは大丈夫とか、3か月間は先生なしでもやっていけるとか言われます。
しかし、これはあくまでもそういう人がいる程度の話で、実は死亡の翌日から”違反状態”に。
ですから、早急に後継者を探すとか、事業承継するなどの対応が求められます。
遺族にとってみれば、お父さんがが作り上げた事務所を他人に預けたくないものです。
遺族が働いている場合には、国税OBの先生に”助力”を求め、事務所を存続させることもあります。
しかし、その時点で事務所は遺族のものではなくなります。
よくあるのが、”うちの事務所”を主張する遺族と、後を任された税理士との主導権争いです。
この話は枚挙にいとまはありません。
でも、家族が働いていなければ、職員の生活を守るため、早期に覚悟を決めて対応すべきです。
税理士事務所のとって、原則、税理士は1日として不在になることは許されません。
事業承継支援室長
大滝二三男