個人事務所しか認められなかった時代は、先生が亡くなれば、事務所名は変わる。
勤務する税理士が事務所を引き継いでも、事務所名は変えざるを得なかった。
そこに勤務する職員も、名刺がその度に替った。
学生時代の同級生などにあって、たまたま勤務先を聞かれたときに、「あれ事務所代わったの?」
そんなことを質問もしばしば。「いや、先生が亡くなってね。」
いちいち、説明するのも面倒くさい、ということもあった。
しかし、今は税理士法人制度ができたから法人に勤める限り、そんな面倒なことはない。
お客さんにも、先生が代わって、「これからは〇〇事務所になります」なんて言う必要もなくなる。
ところが、現状では、まだまだ個人事務所が圧倒的に多い。
先日お会いした先生も「私で3代目で、私もそろそろ辞めた」と言う。
実際には、この事務所30年しか経っていない。中には創業時からいる職員も。
その職員が今回も新しい承継者の事務所に移れば、実に4つ目の事務所。
個人では一度も転職していないのに、4回も転職したように見えてくる。
まだ50代の職員も「もういい加減にしてほしい。法人にお願いします。」
親子で組織する税理士法人でなく、一定規模以上の法人であれば、簡単には組織変更はない。
職員も個人経営者の顔色をうかがいながらの業務も、避けられるようにもなる。
そして、厚生年金などの社会保険も整備されているから、これまた安心。
最近は退職金制度のない税理士法人が主流だが、自らが対応すればいい話。
自分年金の時代でもあるので、顧問先にも同じようなコンサルもできようというもの。
そう、”親方”に万が一のことがあれば、何度でも事務所名が替ってします。
もうそんな時代ではないような気もしますが、いかがなものでしょうね。
事業承継支援室長
大滝二三男