これまでに事業承継に仲介したケースで、際立っているのが、残業。
小規模な事務所ほど残業がないという現実に遭遇した。
残業するほど仕事がないというのが正直なところで、先生ものんびり。
その一方で、職員には残業はさせないが、所長自らは毎晩残業というケースも。
その税理士に訊くと、「残業慣れした職員は、概して仕事が遅い。」
そんな職員に「頑張って仕事をしているから、残業代もはずもう」、なんてとんでもないという。
「こうストを考えたら、大赤字。それなら残業はさせず、時間内に仕事が終わるように指導する」
それこそが、経営者としてやるべきことだとも、強調する。
結果的に、売り上げに比べて、所得が多くなるのは、先生の効率的な仕事によるもの。
事業承継をして、そのまま効率的な経営体質を維持できるかどうかは、後任の能力次第。
「残業してでも今日中に仕事を終わらせろ!」と叫ぶ経営者では、無理な相談か。
85歳を超えた先生の事務所でも、「残業をする職員はいません。5時過ぎには事務所はカラ」
笑いながら話していたのだが、経営統合した後は、若い先生との間で一悶着起きないか不安も。
若手の先生の事務所では、若い職員が一緒になった高齢の職員たちの早帰りに不満を抱くことも。
長年残業なしで仕事をしてきた人からすれば、自分たちの一日の仕事は5時までで終わり。
早めに家庭に帰ってのんびりするのが、日々の流れ。今から変えることはできません。
しかし、大規模事務所の場合は、仕事大好き人間が多数を占め、毎日残業。
一月の残業時間が80時間は当たり前、中には100時間を超える人もいるとか。
さらに休日出勤は当たり前。土曜日は休日に非ずといった人も出ている。
こうなると、経営者として何とか、残業を少なくする算段をするのだが、なかなか徹底されない。
時には午後7時にすべての電気を切ってしまう強硬策も講じるのだが、これもショック療法にはならず。
「仕事がたくさんあることはいいことだ」という人にとっては、より良い職場なのかもしれません。
しかし、残業がない小規模の個人事務所も捨てたもんではないのでは!
こんな事務所を中規模以上の事務所に紹介しいているのですが、実際です。
そうなると、小規模事務所の職員の労働環境は厳しくなりますが、それでいいのでしょうかね?
事業承継支援室長
大滝二三男