毎日の業務が朝礼で始まる事務所は、かなり多い。
人材の育成に苦労している事務所ほど、この朝礼などに力を入れている。
所長・経営者の考え方が知らされず、ただ業務をこなすだけの事務所との差がここで出る。
ある程度経営者として経験を積み、業務に支障がない体制が出来上がると、これまた惰性に走る。
それをなくすためには、常に経営者が自分の思いを語る必要がある。
トヨタ自動車の豊田章男社長は、新車を出す前に必ず試乗して、気にらなければゴーのサインは出ない。
それは、車に乗ることが楽しくなければならないということを、社長自らが示す必要があるからという。
税理士事務所で同じようなことができるかといえば、果たしてそれはなんだろうか?
商品といえば、会計処理と税務申告、顧問先に代わり、書類を作成し、申告も代行すること。
その作業には、必ず事務所の担当者と顧問先の社長や経理担当者とのコミュニケーションが介在する。
このコミュニケーションが、最小にして最大の、いわば税理士事務所の”商品”の一つ。
これが上手くいかなければ、”商品”の価値はもろくも崩れ、最終的には顧問契約の破棄にもつながる。
逆に上手くいっていれば、顧問先の経営者がその価値を認め、顧問料のアップにまで評価が上がることも。
従って、そのコミュニケーションの力を上げるためにも、日々の朝礼が必要と考える経営者もいるわけ。
ここ数年、目覚ましい成長を遂げている都内に事務所の場合は、時にはじゃんけん大会で楽しむという。
楽しくなければ仕事じゃないというわけで、その明るい事務所には今日も新規の顧問先が増え続けている。
もちろん、単純に楽しんでいるわけではない。職員は全員、日々の研修は怠らないのも事実。
仕事をする理念がしっかりと職員に植え付けられ、代表者も決算打ち合わせなどにも精を出す。
なかにはそこまでやらなくてもいいだろうという仲間もいるようだが、妥協することがない。
まさに率先垂範を身を持ってできている経営者であり、その縁の下の力持ちも事務所にいる。
こんな経営を誰もができるわけではないが、毎朝とは言わないまでも、毎週月曜日には30分の意識改革。
数人の事務所ではこれまた難しいだろうが、10人を超えたら、やったほうがいいように思う。
そう、経営者の理念を職員がしっかり理解し、そのうえで顧問先とのコミュニケーションを図る。
古いようで、今も生き続けている、この朝礼、初めて見てはいかがでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男