若手に意気のいい税理士を紹介してほしいというわけだ。
これまでの長い経験を、数年間で若い税理士に教え、自分の”影武者”を作りたいのだ。
自分が辞めた後も、お客さんがついてきてくれるのは、自分と同じ手法でなければならない。
だから、若者にも自分の業務のやり方を知ってもらい、同じようにやってもらいたい。
極端な言い方ですが、こんな風に考えているのかも知れません。
しかし、ご自身で一人で事務所を経営してきた先生が、果たして若者に我慢ができるでしょうか。
しかも、自分一人しか”先生”と呼ばせていなかった人が、自分以外にも「先生」を許せるのでしょうか。
税理士は私一人で十分だと、税理士試験に合格した若手を独立させてきた先生も数多くいます。
それも、独立するときにお客を持っていかないように、資格を取ったらすぐに事務所から”追放”。
中には資格を取ると給料が高くなるから、早めに独立を進めるなんて話もあったほど。
ですから、今や若い税理士は資格を取っても個人事務所には行かず、税理士法人で力を付けます。
同時に、お客になる新規開業者も少ないですから、独立そのものに躊躇もします。
個人事務所のオーナーは営業をしなければいけないから、勤務税理士のまま高給を取ったほうがまし。
そんな若者も少なくありませんので、優秀な人材を推薦することもなかなか厳しい状況です。
ですから、10年スパーンで後継者を育てる意図がなければ、人事紹介を求めるのは無理でしょう。
「事務所を継がせるから、少々の苦労も厭わないだろう」
とんでもありません。そんな苦労をしたいというのは、先生の息子さんや婿さんぐらいでしょうね。
そんな時代になっているのが現実です。
事業承継支援室長
大滝二三男
5月27日・東京、28日・名古屋で税理士事務所事業承継セミナーを行います。
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