これまでに何度となく、同じ内容を書いてきたように思います。
ブログを開設以来9年、何度目か、同じ内容を書くことをお許しください。
高齢の所長さんがご自身の年齢も考え、事業承継を思い立ちます。
その理由は、顧問先へのサービスの継続と、職員の雇用を確保するためです。
少なくとも、高齢の所長さんより、従業員の年齢は10歳から20歳若いはずです。
70歳の税理士さんが事務所を閉鎖すると、60歳から30歳くらいの職員の職場がなくなります。
職員は勝手に仕事を探せと言った税理士さんもいます。
彼らが路頭に迷おうが、自分には関係ない。
それまでに十分報酬は出してきた。
そんなことを大声で言われる税理士さんもいました。
そして、”見事に”事務所を閉鎖し、職員は自分で就職先を探す羽目になったケースもあります。
しかし、ほとんどの所長さんは、職員の生活を考えると、自分だけが引退することはできないと言います。
ですから、辞める決意をした時に、まず最初に考えるのは、職員の生活です。
20年も勤め続けた職員の行く先がなく、生計も立てられないとなれば、所長も勝手はできません。
こんな所長の考えに対して、職員はどう考えるのでしょう。
所長は事業承継によって、顧問先に安心してもらい、同時に職員の雇用も守られると考えます。
以前にも何度も書いてますが、そんな所長の考えを、職員は認めません。
新しい所長の気分次第で、自分たちは辞めさせられ、生計の道が絶たれると、言うのです。
ですから、所長にはできる限り、長く事務所を継続してもらいたいと要求します。
高齢の税理士として、仕事を全うできるような体力や気力はないと言っても、納得しません。
さらに、新しい税理士はこれまでの給与を査定し、減給するかもしれないと言います。
その結果、新しい事務所を辞めざるを得なくなるから、事業承継には絶対反対です、と主張します。
でも、どうでしょう。高齢の先生がある日突然倒れたとなると、その時点で事務所は崩壊します。
後継者のいない事務所だから、事業承継を考えるわけですから、当然そうなります。
その時点で、職員の雇用はなくなります。給与を支払う人がいなくなるわけですから、さて……。
お客さんのことを知り尽くしている職員、そして若手の新しい税理士のもとで、業務を継続する。
そうすることで、職員として雇用、そして給与も確保できる。
高齢の先生が経営する税理士事務所の行く道は、従業員も考えなくてはならないでしょう。
ある日突然、事務所がなくなるより、事務所が継続し、雇用も守られることが一番ではありませんか。
このような内容をこれまでにも何度も書いています。でも、同じことを書かざるを得ません。
結論はいつも同じですが、資格ビジネスの辛いところでもあります。
所長先生も職員に対して、常日頃からその思いを伝えておくべきでしょうね。
ただし、決意するときは職員に相談するのはいかがでしょう。
なぜなら、一番保守的なのが職員ですから、先生の思いに”拍手”を送る人はいません。
経営者として一番孤独を感じる時かもしれませんが、決意は確固なものとするべきでしょうね。
事業承継支援室長
大滝二三男