だれも自分が、第一線で活躍できなくなるとは考えません。
特に資格ビジネスの場合は、これは顕著です。
私の叔父も、85歳まで現役の資格ビジネスマンでした。
最後は耄碌して、今では人間としても認められない反社会的なグループの顧問でした。
ひょっとすると、業者の資格者グループからは悪徳○○と言われていたかもしれません。
死ぬまでバッジを外すことなく、葬式にはグループからの花輪も飾られていました。
もちろん、税理士業界でも最後までバッジを付けていたいという先生の本音も聞きます。
でも、多くの先生方が、年齢とともにお客さんお数も減少してきます。
先生が事務ができなくなってきたということで、断るケースももちろんあります。
実は、事業承継のご相談が多い方は、ほとんどこのケース。
自分でできる限りはやってきたが、それもできないことが分かった。
だから、自分の代りにやってくれる先生を探したいので、協力してくださいというもの。
ご本人はもちろん、死ぬまでできると思っていたが、頭がついていかないと告白。
そうですよね。最近の税務は実にややっこしい。
小規模宅地の適応などこの数年間で大きく変わっています。
相続税の関する取扱いでも、事業再編税制でも、古い頭のままでは追いつきません。
さらに、東南アジアに工場を作りたいのだが、現地の状況を見てきて、アドバイスしてほしい。
とんでもない、対応ができない相談、税理士という仕事を超えた相談にも応えなければならない。
息子の嫁を探してほしい、仲人を頼む、夫婦喧嘩の仲裁を、なんて時代はもう今は昔。
そんな時に、今まで一度も経験したことのないような病気を告げられる。
それも自分では何も症状を感じないまま、人間ドックなどで発見される。
検査入院が、実は退院できる可能性のない病状だったりする。
初めて、自分の事業を終える時期を考えることと向き合うことになる。
そして、自分には後継者がいない、いや作らなかったことに気付く。
税理士は自分だけでいい、資格があると給料も高くしなければならない。
そんな必要はないと考えていたことが、その時初めて「??」となる。
死ぬまでできる仕事ではあるが、死ぬまでやる仕事では果たしてあるのか、考える。
これまでの経験ですが、やはり不治の病にかかって初めて相談に来る先生が多い。
いや、先生ご自身ではなく、ご家族・奥さんが来られる、当然です。
自分は仕事ができなくなるとは考えてはいないのです。それが普通ですよね。
事業承継支援室長
大滝二三男