この8年間で100件を超える税理士事務所の事業承継を仲介してきました。
そこで、所長さんが経営状況を職員に知らせているかどうかをチェックしました。
答えはほぼ99%、公開していません。
これは中小零細企業と同じパターンです。
「なぜ、知らせるの?」 というのが、所長の圧倒的な答え。
しかし、中には所長の経営能力はありませんと、職員が”乗っ取った”事例もあります。
この場合は、すべての経営を職員がチェックしていた事例です。
所長が、日々の細かい数字を知らされていなかったといったほうがいいのでしょう。
なぜそうなったのかは、よく分かりませんが、のんきな所長さんでした。
ですから、勤務税理士と職員に乗っ取られてしまったわけです。
まさにレアケースで、これ以外は、すべての先生が公開していませんでした。
公開することで、事務所が飛躍的に成長している事例も、もちろんあります。
でも、これと同じようにやろうとしても、99%の事務所はできないでしょう。
そろそろ税理士法人にしたほうがいいでしょうと、話をしても、答えは「ノー」の所長もいます。
その答えは、「自分の事務所でしょう?経費も使えなくなりますから、法人化はしません」。
法人化した事務所でも「私の事務所」から脱皮できない事務所が多いはず。
ですから、なかなか経営情報を正確に職員に公開することをためらうのが普通です。
経営状況を公開して、職員ともども経営に責任を負ってくれれば、公開もやぶさかではないとも言います。
独立志向の強い士族を職員に抱える税理士法人の経営者としては、なかなか難しい決断です。
上場できない税理士法人として、今後さらに大きくなる時に経営情報の公開が迫られるときは???
事業承継支援室長
大滝二三男