年末の話は、病気が一番の理由と書いたのは先週ですが、今回は違います。
職員が次々と退職し、その手当てができないままに年末を迎えた、という事案です。
退職の理由は現在はわかりませんが、何しろ顧問先の情報も定かではありません。
というのも、辞めていった職員の仕事を引き継ぐ人が先生しかいません。
それも十分な意思の疎通ができていたかもはっきりしないのです。
先生の毎日を見ていた奥さんが確認したところ、顧問先の情報も十分引き継がれていないようです。
もちろん、先生が開拓した顧問先ですが、開業後30年以上も経った今も、先生が行く先はごく少数。
創業者も今はなく、代替わりした経営者は、先生より退職した担当者と息があっていました。
先生も担当者に任せっきりでしたから、その職員が辞めて今は毎日が”新任担当者”そのものです。
毎日遅くまで顧問先回りを続ける所長の姿を見ている奥さんにしてみれば、気が気ではありません。
年齢も70代中盤ですから、健康上何があっても不思議ではありません。
しかも、パソコンも不得意な先生が、持ち帰った資料を整理し、打ち込む姿を見るにつけ、不安が募ります。
いまや、経営というより、実務をこなすので精いっぱい。それも、税務というより、単なる数字を打ち込むだけ。
なぜ、そのような窮地に陥るまで対策が打てなかったのかは、定かではありません。
当然、奥さんも事務所の仕事から離れていましたので、先生の窮状を知ったのはつい数週間前。
先生はハローワークなどに職員募集をかけていましたが、いい人は出てきません。
即戦力を求めてみたものの、パソコンに打ち込むだけの仕事でしたら、パートでもできます。
今回の場合は、会計事務所の職員として、顧問先を担当できる、経験のある人材募集です。
これにはそう簡単に、適切な人が出てくるとは考えられません。
こうなると、思い切って事業承継をして、先生は第一線から身を引くのが一番いいように思います。
果たして、その方向で先生の腹が決まるのかどうか?
年内にある方向性を出さないと、確定申告を乗り切ることは不可能でしょう。
支援室ではそれなりの方向性を打ち出せますが、最終判断はもちろん、先生です。
奥さんとも十分対話を維持しているようですので、少しばかり安心です。
でも、お役さんが待ってくれるかどうか、それが一番の問題です。
先生が大丈夫と思っていても、顧問先の社長は待ってくれないことも十分考えられます。
辞めていった職員が新たな就職先に”持っていく”こともありますから、対策は急がれます。
事業承継支援室長
大滝二三男