地方での税理士事務所の経営環境が、年々厳しくなってきているのは事実。
大阪や名古屋などの大都市から、東京に支店を開く税理士法人も増加中。
今現在は従業員である税理士をメインとして支店展開をしている法人でも、代表が指揮棒を振るう。
一月の3分の一は東京にいて、支店の営業展開に注力しているという税理士もいる。
将来的には、本店を東京に移すということも経営計画に歌っている法人もあるほど。
最近、相談を受けた法人も、その地域では一番店なのだが、最盛期に比べ20%も売り上げダウン。
大手家電メーカーなどがその地域から撤退し、その下請け企業も大方廃業や他の地域に移転。
こうなると、商店街ももちろんシャッター通りとなり、中小零細企業の生き残り組しか、顧問先にはない。
戦前からの会計事務所だけに、従業員ンも高齢化し、給与も地域でも最高。退職金もしっかり。
これを維持するだけに、そして時代に引き継ぐためにも、営業地域の広域化だけでは展望が見えない。
そこで、首都圏への支店展開で、事業の拡大を図ろうというもの。
しかし、落下傘方式では、とても経営は成り立たない。やはり事業承継しか手はない。
だからと言って、自らその相手を探すことも、ほとんど不可能に近い。
そこで、弊社に相談となったわけだが、そうそう適当な案件があるわけでもないし、相手が認めないことも。
今年の前半も、地方の税理士法人を相手とする事業承継案件でも、「なぜ地方の人と一緒になるの?」
ご本人も地方出身者だが、かれこれ40数年、東京で事務所をやってきた人には、地方の事務所は拒否。
なかなか上手くいきません。大阪の先生も、「東京の税理士法人はどうもね」と反対されるのが普通。
それだけに、地方から東京に進出してくる事務所の経営は、苦戦が強いられる。
所長自身が営業に力を入れない限り、東京支店を盤石にする手はないのが実情だ。
新たな事業展開をするのはどの業種でも同じだろうが、人から人への口コミが一番の税理士業界ではなおさら。
地方事務所で東京の事務所を事業承継できたところは、のんびりしていたらたちまち客は減ります。
東京での営業拠点の構築は、じっくり腰を落ち着けて、頑張ってほしいものです。
事業承継支援室長
大滝二三男