最近、税理士さんが互いの立場を尊重する形で、税理士法人を立ち上げる例が増えています。
具体的には、個人事務所の延長の形で、法人を設立するにしても、独立採算を維持する。
つまり、顧問先からの収入も個人事務所時代と同様な形で、集金(収入)する。
経費も互いの事務所で精算し、最終的に申告は法人で行うが、税金も互いの事務所が負担する。
それでは、法人設立のより何が”特典”になるのだろうか?
当然、法人なりした翌事業年度は消費税は非課税となるから、これは確かにメリット。
お客さんからは消費税をもらうわけだから、申告・納付の必要のない消費税は収入となる。
来年の4月からは5%から8%になるわけだから、その”利益”は確かに大きい。
最近税理士法人なりした税理士さんいわく、消費税よりも、人財がとりやすくなったのが一番だという。
個人事務所の時には、なかなか若い優秀な人は来てくれなかったが、法人なりした途端ガラッと変わった。
つまり、法人という形を整えることによって、組織として事務所を見てもらえるようになったこと。
個人事務所では、所長そしてその家族がすべてを取り仕切り、成長するチャンスが見えてこない。
確かに、税理士資格を持った人が個人事務所にリクルートで出かけても、いい結果は出なかった。
試験合格者が登録できるためには2年間の”修行”必要だが、個人事務所では受け入れられない。
これも、登録できるようになれば、直ちに独立してしまうようなことがあるから、戦力にはならない。
したがって、個人事務所が試験合格者の受け皿になるケースは少ない。
ところが、法人なりする税理士さんは、少なくとも今より明日と、事務所の拡大を考える人たち。
いい人材がいれば、将来的にそれら若者に仕事をさせて、法人としても成長したいと考える。
お客さんも”一人親方”よりも、複数の税理士がいる事務所に意見を求められる法人をよしとする。
上昇志向のない、単に税務申告さえやってもらえればそれで良いといった経営者には期待しない。
ゴーイングコンサーン、永続性を求めるのであれば、やはり法人。
さらに、今後数年間は、この税理士法人同士が合併などにより、さらに勢いづいてくる。
今や3000を超える税理士法人があるのだが、年明けには合従連衡が盛んになるに違いない。
働く者にも、そして顧問を依頼する企業にも、税理士法人の方がはるかに優位に立つ時が近い。
事業承継支援室長
大滝二三男