税理士事務所の承継相手を見る時に、当支援室はどんな点に着目するのでしょうか?
経営者の人柄、事務所経営への意欲、健康、年齢、資金力
事務所の職員の品質(一人一人をチェックするのは不可能ですが)、組織の力
会計システム、ソフトウエアなども当然チェックします。
ここで、譲り渡す側の先生の最も心を砕く点が、職員が馴染んでいけるかどうかという点。
個人事務所の場合、雇用関係は所長との相性(好き、嫌い)で、成り立っています。
ですから、所長が辞めてしまうということになると、職員の中には職場を離れることがあります。
先日も契約が完了した事務所の場合、先生が病気で資格を返上。
承継先ではぜひとも長年顧問先との相手をしてきた女性職員を引き留めましたが、断固拒否。
「先生がお辞めになるなら、私は当分雇用保険をもらって、しばらく休養します」の回答。
已む無く、顧問先の担当者との意思の疎通を図るとともに、同社の社長とも面談し、顧問契約を完了。
顧問先各個に交渉しなければならず、引継ぎ業務で大変な思いをさせられてしまった。
今夏にのケースは、承継前に辞職となったものだが、なかには承継後に退職することもままある。
引継ぎ業務を行っている最中に退職者が出ることはあまりないのも事実で、ひと段落した際に辞職となる。
顧問先の対応の多くを職員に任せている場合は、退職とともに顧問先も失ってしまう。
雇用を維持することを条件に承継先と契約したのに、職員が辞めてしまっては元も子もない。
雇用情勢があまり良くない今のご時世で、さっさと職場を離れることができるのは、どうしても女性。
女性の場合、嫌だと決めたら、その気持ち通りに動くことができてします。
所長の経営していた事務所よりも立派な事務所を紹介された場合、先生が物怖じしてしまう。
その感情が職員にも通じて、「いやだな」といった流れができてしまうこともあるようだ。
当支援室として、個人事務所でも成長戦略を立てている事務所を承継先に選定します。
というのも、顧問先が減るから承継すると言った事務所では、これからの時代生きていけないとみるから。
ですから、やはり承継先の事務所が立派な経営者でなければいけないわけです。
抽象的な表現ですが、意欲に満ちた先生の事務所は、パンフレットもホームページもしっかりしています。
堂々とした事務所でなければ、承継先としての条件には疑問が残るわけです。
先生、心配はありません。職員はいざとなれば根性がありますから、立派な事務所の立派な職員になります。
事業承継支援室長
大滝二三男