税理士の事業承継者が相続人であった場合、損害賠償責任は”相続”されるのか。
いや、税理士の相続人が税理士でなくても、損害賠償責任は引き受けなければならないのか。
昨年の東京地裁の判例では、税理士が相続税の申告に当たり、海外資産を漏らしていたことが明らかに。
相続人の情報により、海外資産はなしとして申告。しかし、税務調査により、海外資産を把握された。
それも、過去に被相続人の確定申告書を作成した際に、海外資産の存在を裏付ける資料を把握。
しかし、相続税の申告に際しては、その事実に着目することなく、相続人の提供する資料のみで申告。
結果、一億円を超える損害賠償事件に巻き込まれた。
裁判結果、裁判所により一部賠償額の減額がなされたが、一億円超の賠償金は確定。
この判決が出る前に、裁判の被告・税理士は死亡。
刑事裁判であれば、被告死亡により、被告の白黒は付けずに、裁判そのものが終わってします。
しかし、民事のこの損害賠償請求事件では、被告の相続人にその責任は及ぶ。
この結果、被告の税理士は敗訴となり、その相続人に損賠賠償責任が引き継がれた。
いやあ、怖いですね。税理士業務は常にこのような事件に直面いているわけです。
たまたま、大きな相続案件でなければ、このような損賠賠償事件人はならないのです。
報酬料が高いと言って、安易に専門外の相続に手を出すのはいかがなものでしょう。
損害賠償責任は、税理士でない家族にも及ぶ大変なことです。
事業承継を考える先生も、過去の事例を整理して、十分対策を講じておいてください。
事業承継支援室長
大滝二三男
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