生きのいい中小企業の海外進出は、中国経済が良くないというものの、相変わらずだ。
東南アジアに進出する企業の相談を最初に受けるのは、そう顧問の税理士。
経営の唯一の相談相手が税理士であるのは、経営者であればだれもが知っている。
毎月顧問料を払っているのだから、顧問の税理士に相談するのが当たり前と考えている。
その相談に十分に応えることが出来なければ、顧問としては失格。
とはいうものの、税務会計に関する相談なら問題ないが、海外進出の相談まで対応できない。
こうなるとコンサル会社に頼るしか方法はないのですが、顧問先はお金を出しません。
日本人の悪いところで、お金の出入りがないことでの相談は無料と言う悪い”常識”があります。
となれば、先生も応えることができない以上、話を聴かないことにします。
こんな例はそうそうあるとは思いませんが、税理士さんは万能ではありません。
さらに、近年の税務に関する法令等は改正のスピードが速く、高齢の税理士が対応できないことも。
もちろん、いつの時点でも最新の情報を把握していなければならないのは、税理士の努め。
改正された法律を適正に税務申告等に反映させないと、後で損害賠償などの争いにも巻き込まれます。
税理士一人の税理士事務所は、すべての責任がたった一人の肩にのしかかります。
損害賠償があれば、自らの資産を売却してまでも、その義務を果たさなければなりません。
職員が行った業務でも、チェックするのが税理士個人。その責任は逃れられません。
税賠保険で補償できる範囲も限界があり、最終的にはそのオーバーしたものは先生が払います。
先日も8000万円の損害賠償をするという社長さんの話を聴きました。
やはり、個人事務所の税理士さんのエラーでした。
そう、一人でややこしい案件をチェックする時代ではなくなっているのです。
法人組織の中で、慎重に会計税務のチェックを行わなければいけない時代になっています。
誰でも間違いはあります。しかし、損害賠償の時代にもなっています。
「先生、いつもお世話になっていますから、今回は目をつぶりましょう」
もうそう言った言葉を聞けない時を迎えているのかもしれません。
事業承継支援室長
大滝二三男