税理士事務所の顧客の中には、自分が一番のお客だと、”勘違い”している人もいる。
特に、創業社長や医療法人の経営者に、こんな傾向があるようだ。
顧問契約をして40年という社長さん、毎月税理士が訪問すると、政治や経済の話で2時間。
80に手が届こうという年齢だが、いまだに後継者が育たず、現役続行中!
それだけに、過去の話を延々と話続け、この話に対応できない税理士事務所の職員はアウト。
仕方なく、月一回は、その社長のご機嫌を取るため、片道2時間、電車を乗り継いで行く。
こんな社長を顧客としている税理士事務所の事業承継された。
譲り渡す税理士さんから、その社長の”操縦法”が新しい税理士に伝授されたのは当然の事。
ところが、新しい税理士さんの対応が問題になってしまった。
月に一回、同社長の”訓話”を聞くことが苦痛になり、たまに職員を生かせることになった。
若い職員は、社長から経営の状況などを聞き、経理関係者類をチェックすることが仕事と考えていた。
しかし、社長の思惑はそうではない。「経営数字はしっかり把握しているから、自分の話を聞け」という。
確かに、将来、同社長の話は参考になるかもしれないが、今は社長の話は”無駄話”と考える。
そうこうしているうちに、社長も不機嫌になり、「もう君は来なくていい。先生に言っておくから」
事務所に帰った職員から話を聞いた所長さん、「まったく困ったもんだ!」の一言。
皆さんの想像通りに、数か月後、このお客さんは解約となり、自ら新しい税理士を探しました。
これはほんの一例だが、事業承継契約をしたし新旧税理士連名による挨拶状に怒った経営者も。
つまり、新しい税理士に引き継ぐ前に、直接”相談”してくれてもいいだろうという”豪傑”だ。
自分一人で会計事務所を盛り立ててきたかの言いように、新旧両方の税理士がカチンときた。
そうは言いものの、引き継ぐ先生は、うるさ方はどこにでもいるので、穏便に済まそうとしていた。
ところが、譲り渡す側の先生としては、顧問先に相談などできるわけがないと、こちらは強気。
そうこうしているうちに、「あの挨拶状はなんだ。俺は客だ。自分たちで勝手に決めるな」と言い出した。
これには新旧税理士ともども「そう言われてみればその通り」だと、返事もせずに放って置いた。
細かい契約のことを顧問先に話すべきことでもないので、そうせざるを得なかった。
この時点で、年間数百万円の顧問料をもらっている企業の顧問契約はないものと”計算”。
その結果、同社長より「今月いっぱいで契約を解除する」という話が届いた。
いかがでしょう?みなさんが事業承継を経験されていれば、こんなケースはあるのではありませんか。
事業承継の挨拶の在り方については、十分注意が必要ですね。
事業承継支援室長
大滝二三男