誰が言っても、税理士事務所の売り上げ減は止められません。
顧問先の景況が上向きませんから、顧問料を上げることはできません。
その一方で、インタネットを利用した”元気な”会計法人が”大安売り”展開しています。
その元気良さは、組織的な営業経験のない税理士にとっては、理解不可能です。
新設法人には、無料でその手続きを教え、実務は提携先の司法書士や行政書士が担当する。
その手続き費用は、広告を出した税理士法人が負担し、最終的には顧問先を獲得する。
新設法人ということで、月次の計算料などは控えめに、しかし、決算料は世間相場並みに請求。
契約当初の金額が少ないことに気をよくした新設法人の代表者は、その後の費用にはおおらか!
この当たりがいかにも。”日本人”。信用した人からの請求は、疑うことなく、そのまま了解。
ところが、新設法人だからといって、少額の顧問料で、すべてのサービスが受けられるわけではない。
10年以上の経験のある税理士は、インターネットで宣伝するような安い顧問料では契約できません。
雇っている職員の給与も出せないような金額で、経営を続けることはできないのは当然です。
しかし、税理士事務所の売り上げが減少することで、その影響を受けるのが、実は末端の職員です。
お客さんとの間を行き来している職員を辞めさせることは、直接売り上げ減になります。
なぜなら、税理士個人によりも、資格を持たない職員のほうが、お客さんとの接点があります。
顧問先の責任者としてみれば、数字が少々間違っていても、文句が言える担当者がいることを求めます。
税務署との折衝の実務も、先生が実際に担当しても、顧問先の社長から、職員に感謝の言葉が投げられます。
一般の職員の場合、大学卒業間近で、会計事務所を最終就職先と考える人は、極々少数です。
もちろん、現場を守る職員も、変革を否定しているわけではありません。
これから始まる”大不況”を前に、どこの、誰であろうが、自らがその防衛策を考えるべきでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男