税理士事務所の事業承継のお手伝いをしていると、ある傾向に気づきます。
それは退職金規定です。
民間企業でも、昨今は退職金規定をなくす企業が増えています。
というより、退職金規定はあっても、退職金を払えない企業が増え、退職金がもらえないのです。
通常の退職により、規定通りの退職金がもらえない場合、国が代わって支払ってくれる制度もあります。
しかし、この制度を利用できる人もそれほど多くありません。
大手の税理士事務所ほど3年未満で退職するケースが多く、退職金規定を廃止した事務所もあります。
多くの場合、3年以上勤務しなければ支給しないとの規定を設けていますので、退職金の積み立ても面倒。
公的な共済制度を利用しているケースが多いのだが、個人事務所では制度はあるが積立なしのケースも。
いつ辞めるとも知れない人のために資金をプールしておくのは面倒とばかりに、積立を無視。
しかし、事業承継を考えた時、職員を辞めさせるのに、退職金規定を引っ張り出し、「積立不足だ!」
そこで、「お相手は退職金はありますか?」の質問となるわけ。
これに対して、「退職金は引き継ぎませんので、組織変更の時に精算してください」との要求をします。
つまり、事業承継では「債権債務の引継ぎは行わない」のが普通ですから、このようなことになります。
「退職金がないのですか?職員が納得するでしょうかね」と、お悩みになります。
しかし、税理士業界の大勢は退職金規定がないほうが多くなっています。
税理士法人ほどその傾向が強く、顧客が退職金を排している中で、自分たちが続けるわけにもいかない。
それに勤務年数がそれほど長くないのがこの業界ですので、勤務する人もそれほど要求しません。
それに3年もしたら独立する税理士がいた大手事務所ほど、税理士法人になる前から廃止しています。
年収よって、職場を決める時代ですから、役所のように退職金が問題になることはなくなりつつあります。
退職金を貯めておくより、払ってしまった方が、組織としても身軽なのではないでしょうかね。
事業承継支援室長
大滝二三男
9月25日、弊社セミナールームで「税理士事務所の事業承継セミナー」を開催します。
参加希望者は、フリーダイヤル 0120800058 または e-mail fumio-o@np-net.co.jp
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