10数年前に、税理士さん一人、女性事務員一人の事務所を承継された先生のお話です。
高齢の先生は実務のほとんどを職員に任せ、申告の際のチェックのみ。そのチェックも次第におざなりに。
そんな時に「引き受けてくれないか?」と頼まれて、女性職員と顧問先を預かった。
その女性職員も40代半ばで、自分の仕事は責任を持ってこなしていた。
というより、自分一人でお客さんに対応し、新しい事務所にはなじまない。
引き継いだ税理士としては、お客さんの状況を把握し、それなりの対応をしなければと、構えていたのだが。
女性職員は、上司である新事務所の所長に、顧客情報を報告することは一切なく、自分勝手に処理。
あまりの態度に、経営者として意見をするも、のれんに腕押し。
そのうち、お客さんとともに事務所を去って行ってしまった。
なんとその地方では、よくある話だという。
お客さんは先生のお客さんではなく、日頃から”面倒を見ている”事務所員のお客さんだというのだ。
だから、自分が転職する時には、お客さんを持って、他の事務所に移ることは当然の権利だという。
とんでもない”風習”があるもんだと、”感心”したが、ちょっと待ったである。
その女性職員は当然税務申告書も作り、先生の判子を使って申告代行をしていたはず。
それを許していた先生も先生だが、引き受けてくれた先生に対して、女性職員の情報を伝えていなかったのか。
教育のできない所長に、事務所経営などもってのほか。さながら、職員のピンハネをしていたにすぎない。
こんな”風習”を許さないためにも、職員の担当を数年で変更するような体制を作るべきだろう。
「職員が持って行ってしまった」にはいろいろな理由があるだろうが、その原因を作った経営者にも責任が。
弊社に事業承継のお手伝いでは、そのような事態にも対応できる施策を講じています。
事業承継契約後、確保できたお客さんの”代金”しか払う必要がないようにしてありますので、ご安心を。
事業承継支援室長
大滝二三男