会計事務所の事業承継では、事務所ををそのまま使用(賃貸)させていただく際に、なかなか難しいのが、事務機器などの評価の問題です。
あるケースでは、その備品等の所有権を買い取らず、賃貸します。この場合には、事務所の賃貸料にそれら備品の賃貸料金も含めてしまいます。
事務用の机やいす、書棚、整理棚などは減価償却するよなものは、ほとんど残存価格はありません。したがって、買い取る際にも値段がつかないために、無償譲渡とするケースがほとんどです。
しかし、現状の事業承継に対するその対価に対する税務当局の判断は、40年前と変わらず、単なる顧客の紹介にすぎないとして、「雑所得」とされますので、経費がほとんど認められません。
こうなると、事務用品やパソコン、会計システムなどのIT機器は、それなりの値段をつけて譲渡したほうが、所得区分から考えると、税金上有利となるのではないでしょうか。
現在もこのよな判断から、契約書作成時に、譲渡物件の細目を明らかにし、事務所の承継とは別個の契約書を作成するなどなどの対策を講じています。
それにしても、何度も書いていますが、40年目の単なる顧客の紹介から、現在のように税理士法人に税理士個人も加入し、職員も全員移籍、事務所もそのままに組織変更をする、これでも「雑所得」なのでしょうか?
会社法の467条に「事業譲渡」の考え方が規定されていますが、この条文を読む限り、現状の個人から税理士法人への事業承継の対価を、「雑所得」とする判断はできないと、話される税理士さんもいます。
税法から判断すると、通達しかその判断基準がありませんが、それよりも優先順位になる会社法から考えるのが筋ではないかとも考えられます。
もちろん、我々税金の素人にはその判断基準を変更させるだけの理論はありませんが、事業承継の対価を手にする税理士さんにとっては切実な問題ですので、明確な判断が当局から示されることが期待されます。
事業承継支援室長
大滝二三男
事業承継でのお悩みはお気軽にご連絡ください。
フリーダイヤル 0120800058 e-mail fumio-o@np-net.co.jp