一昨日、山口県光市で起きた殺人事件で、当時少年だった犯人の無期懲役という判決が取り消され、最高裁によって死刑判決が出されました。
私の世代でいうと、犯行当時未成年だった殺人犯に死刑判決が出たのは、「無知の涙」という著作で、刑務所にいる間になぜ犯行に至ったのかを書き現わした永山則夫、ピストル殺人事件の犯人がいる。
当時はまだまだ社会が今のようなものの豊富な時ではなかったので、地方からの出身者にとって、東京という都会は非人間的な社会と映っていたようだ。
そこに埋没しそうになった犯人が、予備校などに侵入し、何ら関係のない警備員など数名をピストルで殺害するといった、通り魔的な犯行に、未成年であっても死刑判決は当然であり、本人自身もそう期待をしていた。
今回は、犯行当時未成年であった殺人犯が、被害者の遺族の感情等も一切考えませず、自分勝手な言動を友人に語ったということに、憤りを感じた遺族が、無期懲役にノーと言い、それが社会的な認知を得たものである。
しかも、現在新聞等を賑わしている自己撞着ともいえる、自らの優雅な生活を満たすために、結婚話を餌に金品を奪い、その挙句、殺人を犯すといった最悪の殺人事件も起きている。そこには豊かさの追求しかない。
固いことを書きましたが、上記の事例でいえば、彼ら殺人犯はいわば、人非人(差別用語ですかね?)。もっと身近な例でこの言葉を思い出させられた、事業承継案件が数年前にありました。
実はわが業界では、親方(税理士)の経営がうまくいかなくなったときには、親方の取り分が少なくなった時と言えばいいのでしょうか、その時は職員に辞めてもらうという”常識”があります。
税理士事務所の場合、ほとんど経営上赤字になることはないのですが、所長が高齢になり、新規の顧客も取れないようになると、職員の給与のために事務所経営を続けているということもあります。
ここに2名の男性がおりました。20代後半で独身者と、30代後半の妻帯者を雇っていたのは70代前半の病気がちの税理士さん。顧客数からみると、職員はどんなに余計な仕事を作っても、1名で十分な事務量だた。
そこで、彼らはないをしているかというば、先生の言によると、午前中で仕事は終わり、午後からは税理士試験の勉強をやっているという。それも事務所の勤務時間中に。そのことを所長自身も認めていた。
こちらからは、職員一人を引き継ぐだけでもきつい経営内容なのに、二人とも雇ってほしいという要請に。こちらは口をあんぐり。午前中に仕事が終ってしまうような事務量しかないのだから、承継するところもあるかないか。
職員に事務所閉鎖と退職勧告を進めると、「この地方では、職員の首を切ると、世間様から”人非人”と言われ続けます。ですからく首にはできません」という”素晴らしい”答え。結果は、事務所をそのまま継続することに。
承継先も決まっていたのだが、その職員の処遇問題で、話は暗礁に乗り上げた。その間、職員に相手先の話をしたが、同意を得られなかったという。当然と言えば当然。こんなお人好しの先生もいらっしゃいます。
物騒な殺人犯が”人非人”というそしりを受けても、経営が二進も三進も行かない企業のとるべき道は、まずはリストラ。社会はそれを認知するのだが、その地方では、一切認めないという。勤め人にはいい話。
彼の先生はそれを潔しとせず、自らの資産を食いつぶしながらの経営を継続しています。でも、午前中に仕事を終え、午後からは試験勉強をして給与をもらている職員こそが、”落第生”ではないのだろうか?
死刑判決をニュースで見聞きし、むごい殺人犯に対して、思ういだしたのが”人非人”という言葉。その表現をされた経営に苦しむ税理士さんを同時に思い出したので、今回は過去の経験を書いてみました。
事業承継支援室長
大滝二三男
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