今年の事業承継をされたある老先生が、二代目社長に契約解除を言われた話。
創業社長との契約を引き継いで、若社長に会計業務の説明した時のこと。
「私は過去の数字なんて見たくもない。今の、そしてこの先の数字を見たいのだ」
これには、老先生、「経営は社長の仕事。内はその結果を数値化しているだけです」
若社長、「だから、数か月後の経営が分かる数値を提供してください」
老先生、「社長が分からないものを提供しようがない」
若社長、大声で「それなら結構です。契約は解除しましょう。だからダメなんだ!」
未来会計などを主張されている先生も多いが、大方は過去の数字のまとめ役。
結果のみを報告する税理士に、将来の企業の姿を知ろうという経営者は物足りなさを感じる。
そして、経営指導をしてくれる税理士を求める動きが出てくる。
伸びようとする経営者ほどその傾向が強いのも事実で、法人経営をしている税理士に食指が動く。
事業承継をしようと考えている個人事務所経営の税理士には、経営指導は専門外。
経営一般の話は当然できるものの、多様な業種の詳細にわたる経営問題にはまさに門外漢。
そこまで要求する経営者も、無理な要望だという向きもある。
しかし、会計ソフトなどが無料で使えるようになり、過去も数字だけを扱っていたのでは時代遅れに。
それだけに、もう自分の時代ではないと、事業承継をして引退する先生も増えてきているのも事実。
「的外れの経営指導をして、損害賠償などを食らってことは本末転倒」との主張も。
未来会計という言葉はすでに20年以上前から言われながら、なかなか普及しない。
専門外のことをやって失敗したくない、そんな考えも聞こえてきそうな気がするのだが、いかに。
事業承継支援室長
大滝二三男