相続税の増税で、税理士事務所にはビジネスチャンスが広がると、昨年暮れに書きましたが、すでに猛烈な営業を開始した猛者事務所が出現しています。
確かに、相続税の基礎控除が、5000万円から3000万円、実に4割も増税になるわけですが、都内に一戸建ての家を所有していれば、小規模宅地の特例を利用してもほとんどの家庭は相続税を納税することになるでしょう。
日本人は死ぬときに一番金を持っているといいます。確かに長生きをすれば、危機と言われている年金でも、老人には毎月使い切れない金額が口座に振り込まれます。住む家が自分のものであれば、年金で十分生活できます。
ですから、今回の相続税の増税案、まだ法律が審議もされず、通る見通しはありませんが、確かに税理士事務所のビジネスは広がる可能性は十分にあります。もらう人にとっては重大事です。
しかし、相続人一人当たりの基礎控除額が1000万円から600万円になるわけですから、こんな大規模な増税に対して、どうして国民は黙っているのでしょうか。もちろん、税理士さんたちもなぜノーと言わないのでしょう。
東京で一軒家を持っているといっても、親の代、爺さんの代から持っているわけで、資産家でもなんでもない。いち庶民の生活なわけです。面積も20数坪とかです。こんな人を対象に財政が苦しいと、大衆課税をするとは何事ですか。
財政再建をするためには、国民に我慢をお願いしたいとでも言うのでしょうか。親子三代で相続が行われるとほとんど税金で持っていかれると言われますが、それでいいのでしょうか。もう資産家は日本離れが始まっています。
最高税率55%、半分以上も国がが持っていってしまう、そんな国に、しかも経済発展を望めない国に、資産家たちは未練はないでしょうね。もうグローバルの時代です。お金持ちはどこでも自分の国を選べる時代になりました。
自らが努力をして作り上げた資産を、3代でなくなるような国に未練はないでしょう。今回の相続税の増税は日本の長期的な凋落を作り出す最大の愚作だと思いますが、ビジネスチャンス到来と浮かれる先生方いかがでしょうか?
事業承継支援室長
大滝二三男