年末を控えて、事業承継の交渉もラストスパートに入っている案件があります。
事務所引き継ぐ税理士事務所サイドでも、年末調整や確定申告の準備と多忙な時期を前に慎重に検討を重ねています。
譲り渡す先生はご自身の決算が12月ですから、ここで区切りをつけたいとばかりにご自身で1月からお相手に事務所に引継ぎができるとばかりに、事務処理を進めていることが発覚。
職員さんから「先生は12月末で廃業の手続きをしたようですが、どうなっているのでしょうか」と緊急連絡。承継側の先生や他の職員と面談済みであるところから、ご自身が1月から引き継ぐと一人合点していることが判明。
そこで、先生の所在を確認し、慌てて先生にアポ。相手の先生からまだ準備ができていないし、新規のお客様にも十分な説明がこのシーズンできない。そこで確定申告後の経営統合を考えている旨を先生に説明したところ、あっさり了承。
廃業届けは? これもまだ出したわけではなく、承継後も顧問になっていただく予定であることを告げると、「廃業する必要はないんだね」の返事。何と職員さんも12月末で廃業すると思い込み、さあ大変と緊急連絡となった次第。
通常、承継の交渉は職員の耳に入らないように慎重に進め、最終決定が行われて初めて職員に報告されます。今回の交渉では、先生と職員との間では、ほとんど秘密事項がなかったために、起きたことで、通常はありえない話。
しかし、職員は新事務所に雇用される事が決まっているため、直接仲介役の私に連絡があり、先生との話し合いで最後の確定申告の判を押してからのバトンタッチで決着。職員そして引き継ぐ予定の事務所長もほっと胸をなでおろした次第。
今回のような話は、高齢の先生が引き起こす”勝手な思い込み”で、交渉の途中でも首をひねりたくなることもしばしば。それでも、仲介役が譲り渡す先生とそれほど歳が離れていないので、そんな思い込みも納得できます。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。