土曜日の夕方、一本の電話がありました。普段休日はビジネス用の携帯電話は手元に置いておかないのですが、たまたま家族で夕食に出かけた際にポケットに入れていたのですが、その電話に気がつかず、留守番電話になっていました。
気がついたのはレストランで注文を終えた直後で、留守番電話の主はこの半年ご相談をいただいている先生からのものでした。入院先の個室からの電話で、次回の面談を約束する内容のものでしたが、そのお声は大変弱々しいもので、お約束の日時も違っていました。
留守番電話を聞いた直後に先生にお電話すると、携帯電話は留守電になっていましたが、すぐに気づかれたのか返事が返ってきました。「申し訳ない。お約束の日が違ったいましたね。」と言った内容で、面談の日時を確認し、電話を切りました。
実は、翌日つまり日曜日に来てほしいというものでしたが、それが勘違いであり、当方も家族と約束があったので、電話の内容を確認し、注文した食事を待っている家族に「明日は予定通り、出かけることができるぞ。さあ、好きなだけ食べろよ」と、ゆっくりお酒と食事を楽しみました。
日曜日の朝方、依頼先の事務所の職員の方から電話がありました。昨日も休日ということで携帯電話は家においてありましたので、早朝に出かけた私には電話があったことを知ったのは午後の3時半過ぎ、家に帰ってからでした。なんと、その内容は「先生の奥様から電話があり、先生が今朝亡くなりました」というものでした。
昨日、少々聞き取りにくいお話でしたが、まさか亡くなるなんて考えがたい電話があっただけに、「今朝、なくなりました」と言われても、本当ですか、と疑わざるを得ませんでしたが、ご友人の税理士先生からも電話があり、信じざるを得ませんでした。
もちろん、病気療養中の先生から事業承継のコンサルティングを依頼されていましたし、最終的なご提案も終えておりました。その内容は残されたご家族に十分に配慮されたもので、承継者も納得されていたものでしたが、お亡くなりになった先生のサインは次回の面談でいただけることになっていました。
本日から、その先生のご遺志をしっかり実現できるように承継者の方々と交渉していかなければいけませんし、同時に先生の事務所のお客様が路頭に迷わないように一日も早く、通常業務ができる体制を整えるための協力をしていきます。
ところで、これまでに所長先生がお亡くなりになった後のコンサルや、ご本人が脳卒中などの後遺症で意思が確認できないといった状況でご家族からのご相談を受ける多いのですが、不治の病を理由に自らの意思で事業承継を依頼されたケースはこちらも本当に慎重に対応してきました。
それでも、元気に自分の老後のために仕事を辞めるという方は、正直こちらが強いことを申し上げてもいいのですが、やはり、時間との戦いをされている方には本当に言葉もありません。ただ祈るだけです。できるのは、ご家族のためにとのお考えを実行できるようにするだけです。しかも冷静な第三者として。きついです。合掌
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。