そうなんです。所長が満足なサービスが提供できると考えたお客さんだけを維持し、それ以外のお客さんには「どうかいい先生を探してください」とお願いするそうです。その結果、この数年間で1割強のお客さんが他の事務所に移ったそうです。
この事務所、なんとITを120%以上駆使し、担当の職員がいなくともお客さんから相談等があれば、その場で他の職員がすべて十分なサービスが提供できる体制が敷かれています。それでも事務所の実力以上のサービスが必要なお客様には遠慮願っています。
もちろん、提供できる範囲を超えるサービスが必要な優良なお客からは平均以上の顧問料を期待できますが、そのために所長が能力範囲内のお客様に提供できるサービスが低下し、品質が低下することが何より怖いと判断した結果、「お断り」です。
顧問先が減ることにより収入も減りますから、中年以上の所長としては自らの事務所の勢いがなくなり、減収減益への道を歩み始め、”負け組”になっていくと不安になるのは当然。そのため年齢とともに事務所を縮小していくのが通例です。
しかし、今回の事例は決して年齢を不安材料として、顧問先を切っているわけではありません。自らの提供できるサービスでは満足できないであろうと、ある程度の企業に成長した顧問先により大手の事務所にサービスを提供してもらうよう要請するもの。
なんと勿体無い、こんな時代に贅沢なことができるもんだといった皮肉も聞こえてきそうだが、この事務所の所長さん、なんと若手の事務所拡大にすべてのノウハウを提供するという。「満足なサービスが提供できる事務所になってほしい」がその答え。
だから、自分の事務所の売り上げが落ちても、「それがどうしたの?」という。事務所の内容を見ると、一人当たりの売り上げも平均を大幅に上回り、職員待遇も顧問先企業に比較していいし、職員には所長の考えがしっかり理解されている。
この事例のような事務所は本当に少ない。しかし、「事務所の能力以上のサービスが要求される場合には自らが判断し、よりよい事務所に移ってもらいます」というのは、平均以上のサービスが提供できる所長が考えいることで、これは納得です。
こんな事務所の所長さんが税理士を辞める際には、お客さんはどこに行くのであろうかと心配になってくる。事業承継先を探すのは本当に大変だ。でも、この事務所には後継者はいないから数年後にはわれわれの出番かもしれない。
われわれも手の届く範囲で十分なサービスを提供し、その結果、満足いただける事業承継ができること、それが何よりだと思います。もちろん、事業承継の相手探しにはその相性などを十分把握して初めて”仲人”するわけですから、ご心配なく!!
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。
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