大不況の影響が会計事務所にも押し寄せています。事業承継の仕事をしていますと、会計事務所の所得や報酬額などの真実の姿を見ることができます。もちろん、その中身を個別にお知らせすることはできませんが、30年以上のキャリアのある先生の事務所はほとんどここ数年で今年が一番悪い営業成績だと思われます。
企業サイドはもっと深刻です。先日もチェーン展開をしている企業の経営が思わしくなく、ここ数ヶ月顧問料が入らないという情報も入っていますし、長年顧問をしていた情報産業グループから「顧問料が高い」との理由で一辺に契約を打ち切られた話も聞こえてきました。断る理由の「何が高いのか」は具体的な説明がなく、対処の仕様がなかったそうです。
もちろん、景気の良いときでも会計事務所を替えたいときの言い分の一つが「顧問料が高い」というのが一番多いわけで、具体的に辞める理由をはっきりさせる企業はほとんどありません。事業承継によって、新しい先生と相性が合わず、「替えたい」という社長さんたちは確かにいらっしゃいますが、そこのはサービスの善し悪しは問題になりません。
しかし、先日、銀行に多額の借り入れがあり、月次決算とキャッシュフロー計算書を翌月15日までに銀行に提出する必要があるので、自計化し、毎月末にその資料を会計事務所に提出しているにもかかわらず、要求する期間内に書類が届かないということで、サービスの悪さを理由に社長さんから税理士の紹介を依頼されました。
企業の規模に比較して高額な顧問料を支払っている社長さんにしてみれば、当然の要求なのですが、会計事務所の担当者からは「いつもやります。やります」の返事だけで、社内の体制も会計事務所の要求通り自社で経理処理をすることにしたものの、答えはノー。いつまでも要求が受け入れられず、所長からの返事もなく、仕方なく弊社への依頼となった。
そこで、新しい事務所を紹介することとしたが、50代前半の社長でもあるので若い税理士さんをとも思ったが、やはり、指示系統のしっかりした中堅事務所に白羽の矢を立て、交渉の結果、「業種的にもおもしろいので、是非うちでやらせてほしい」との返事をいただき、お任せすることに。
実のところ、新規にお願いしたその事務所はここ数年15～25％の成長を続け、今年もいろいろ不況の影響はあるにしても「お客さんは着実に増えています。ホームページを見た若手の経営者から直接依頼されるケースが多いですね」という。ＨＰからの客は安ければいいとという客が多く、敬遠されがちだが、「決してそうではない」と所長さんは断言。
もちろん、地域的な違いもあるだろうが、事務所の色、そしてサービスの内容もはっきり分かるホームページを作成し、所長自ら、そして職員の姿が見て取れるのであれば、それを見、会計事務所に不満を持つ社長さんたちが直接依頼にやってくるという。その中には「安かろう、悪かろう」の顧問先もあるが、それなりの付き合い方はあるという。
とにかく、来るもの拒まず、会っていい方向を出して差し上げること、その上でともに成長して行こうという”元気”があれば、事務所も拡大していくし、職員もともに育っていこうという気持ちにもなるという。やはり”若さ”は力でしょうね。こんな事務所に事業承継の相手をお願いするのも良いなとも考えている次第です。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。
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