多くの税理士さんたちが自ら社長となって会計法人を運営していますが、お客さんからいただく顧問料をどのように配分しているのでしょうか?
事務量的には会計業務のほうが時間もかかりますから、たぶん会計業務の配分が多く、さらに人的にも会計業務にウエートがありますから、会計法人への配分が多いはずです。
なかには税理士法人の代表社員が会計法人の代表取締役を兼ねている例もありますが、この場合、税理士法人の定款に会計業務が入っていると競業避止の規定に触れ、アウトです。
もちろん、株式会社である会計法人を税務当局が取り締まることはできませんから、税理士法人に対するお咎めとなり、代表社員の税理士さんが叱られることになります。
ひどい場合には業務停止にもなるかもしれませんが、これは平成16年に税理士法人制度ができたときにモデル定款の中に会計業務が入っていたことがきっかけだともいいます。
自らが代表を務める会計法人との関係を考えずに、登記する際にモデル定款通りにやってしまい、気がついてみたら法令に違反していたということでした。
この会計法人と税理士・税理士法人との関係が緊張するのは税理士である両者の代表者が死亡し、その遺族が会計法人の幹部として経営に直接権力を振るようになるときです。
この場合、会計法人の経営者としての税理士が存在しないため、会計法人が税務申告等を行い、つまりニセ税理士行為が行われているのではないかという疑惑が生じます。
さらに、税理士に税務申告業務を依頼していても、優秀なシステムがありますから、その実態は名義貸しになっていないかという疑念が生じ、税務当局も“監視の目”を光らせます。
事業承継支援室でも明らかに名義貸しになっているような場合で、相談があったときには名義貸しを辞めるように勧めますが、このようなケースで税理士が悪さをする例があります。
つまり、弱者である無資格者でお客様と密接な関係を保っている旧経営者の家族に対して、法令違反だとして、脅迫的にお客様を自分の顧客とすることを”納得”させることです。
しかも、このようなケースは資格ビジネスだけに誰にでも起こります。しかし、その”権力者”が税理士会の幹部であったり、税務当局のOBであったりしたら目も当てられません。
何とか、遺族の生活を維持していくために会計法人の幹部として優遇し、お客様にも従来通りの対応ができることが、それが一番です。もちろん、税務は税理士が担当。
税理士という資格があるから、税務の実務すべてに精通しているという税理士は100人が100人そうだとは言い切れません。新人もいますし、高齢で少々物忘れの激しい方も。
それだけに、税務ソフトを自由に使いこなす無資格者が貴重な戦力となり、お客様との関係を維持していることも事実です。そんな人が戦力として優遇され、事務所が発展するよう願っています。
事業承継支援室長
大滝ふみお
の”独断と偏見”でした。