胆力という言葉がありますが、具体的にどのようなときに必要になるのでしょうか?「あの人は胆力があるからね」といわれる人はなかなかいらっしゃいません。事業承継の仕事をしていても最後の最後になってこの胆力が試されているのではないだろうかと感ずることがたびたびあります。
豪放磊落と見られていた方が、いざとなると小事にこだわり、あらゆる手段を執って望みを達成されようとすることもたびたびです。その際われわれが申し上げることは「小事にこだわらず、大局を見ていただきたい」と言い回しは違いますが、そうお願いをします。でもその話の意味が通じず、終いには怒りだし、話を打ち切る方もいらっしゃいます。
このような方には胆力があるとは言わないと思いますが、辞書を見ますと「ものを恐れず、物事に臆しない、気力、度胸」とありますが、果たしてこれが普段の心の持ちようだけで論ずることができるのでしょうか。もちろん、「胆力のある、なし」とはある危機的な状況の中で気力とおのれの判断が試されるときに他人から出される評価でしょう。
ですから常に危機的状況を仮定し、その際に様々な人的なネットワークも含めて自分はどのような行動をするのか、知的な創造力を十分発揮しなければしっかりとした判断はできませんので、十分自らの想像力を豊かにしておく必要があるでしょう。瞬時に的確な判断ができることこそ胆力の価値が認識されるのではないでしょうか。
抽象的な表現になりましたが、とにかくわれわれは様々な人生を送ってこられて先輩たちとの生きた会話の中で、これからの人生で相談者の一番の幸せは何かということを見つけるために日々過ごしています。でも自らの胆力が貧しく、十分期待に応えられないということも事実として認識することも多く、反省することたびたびです。
ダメなことをダメと言えず、相談者に中途半端な説明に終始することも事実あります。その説明により、相談者の判断を誤らせ、結果、不幸せな事態に追い詰めてしまう。そんなことではわれわれの仕事は失格です。相談者の幸せを実現するためにもまだまだですが、どうか大きなお気持ちで見守ってください。胆力を鍛えます.
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。