ゴルフファンのこの季節の話題と言えば、米国で行われるマスターズ。球聖ボビー・ジョーンズがゴルファーのナンバーワンを決定するために創設した由緒ある、格式高い大会。今回は日本からは昨年の賞金王・片山晋呉、米国で活躍する今田竜二そして特別枠で招待された高校生プロゴルファー・石川燎の3選手が出場し、彼の地でも大きな話題となった。
4日間の決勝ラウンドに進んだ進んだのは94選手中50人、惜しくも(予想通り)石川は予選突破できず早々に帰国。とはいえ、17歳で出場できたのはこれからの彼の生涯でも何にも代え難い記念であり、誰もがその名誉を評価できることではないだろうか。もちろん、今後は何回も出場できる可能性は十分にあることも認めるところだ。
プレーオフで米国のペニー・ケリー選手が成し遂げようとしていた最年長者優勝記録を阻止し、優勝者の栄誉に輝いたのがアルゼンチンアンのヘル・カブレラ。アルゼンチンの貧しい家庭の生まれ。若いときはキャディーをしながらゴルフの腕を磨き、ついに最高峰にまで。もちろんアルゼンチンの選手としては初の快挙。日本でなら国民栄誉賞もの。
日本人の最高は片山で単独4位。国旗を帽子と背中につけての大健闘。このマスターズが開催された米国ジョージア州のオーガスタ・ナショナルゴルフコースは日本からの一般のゴルファーがプレーをしたいと言ってもなかなか許されないところで、つい最近までメンバーは男性オンリーと”差別”を厳守していたところでもある。
話は飛ぶが、先日クリント・イーストウッド監督主演の「グラントリノ」という映画を鑑賞した。栄光の自動車メーカー・フォードに勤務し、引退後、頑固者として子供たちともうまくいかず一人住まいを続け、隣に引っ越してきたアジア人をイエローと呼び、何でこの町にイエローが住むんだと唾を吐き、不平を口にする。
ある事件から主人公と隣のアジア人との交流が深まる中、同じイエローの不良少年たちと燐家の姉弟の間でいじめが最悪の状況になり、頑固親父が隣人のために立ち上がる。この結末は決したハッピーエンドではないが、老人がその知恵を発揮し、自らを犠牲にすることで結末を迎える。この映画は25日封切りなので結末は書きません。
それにしても、米国というところは差別の国、アンヘル・カブレラがマスターズを勝つことより、映像を見る限り、やはり白人のペニー・ケリーが勝つことを多くの観衆が期待していたに違いない。われわれには分からないが、きっと汚いヤジも飛んでいたのではないだろうか。そんな気もするが、クリント・イーストウッドがその辺を演じてもいた。
このような人種による差別問題は永遠の課題であり、スポーツの世界では結果がすべてを克服してくれるが、一般の社会ではそうはいかない。しかし、ことが経済に及ぶと、そんなことは言ってられない状況になっている。世界第2位の経済大国と言われ続けた日本だが今やその地位も危うくなっているのではないだろうか
今やグローバルの時代、元国税庁長官の大竹健一郎氏も先日の講演で「米国は個人が破産してしまったのに、まだまだ個人消費は旺盛。それに引き替え日本は個人は破産もしていないのに今にも死にそうな経済状況が続いている。これもグローバル経済のいたずら。今後もこの状況が続くが、中小企業のためには税理士の力が必要」と力説。
もちろん、国内では差別問題はあるやに聞いてはいるが、日常生活の中にはほとんど入ってこない。しかし、国内の経済情勢を見たとき明らかに差別的な処遇をしている企業も少なくない。中小企業の中では目立たないが、これからますます厳しくなる格差社会の中で、大武氏が言うように「税理士の力」は果たして発揮されるのだろうか?
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。