事業再生に取り組む川野雅之氏の税理士を対象にしたセミナーを受講してきました。同士の話では今後も金融機関の再編が大がかりに展開され、貸し渋りが継続するのではないか。そして中小企業からの相談を受ける税理士の対応によっては、倒産することなく事業を継続できる道が開かれているとの指摘がありました。
通常、金融機関から借りた運転資金などが返済できず、倒産するという話だが、同氏の解説では、都銀などはリスケには応じないし、返済が長期にわたるより、その債権をサービサーに売却して売却損を計上したほうが銀行にとっては後ろ向きの事務から前向きの事務に転換できるのでありがたいとのこと。
でも、サービサーに渡った債権はどうなるかというと、まずは元の債務者に買い戻すような話になるという。サービサーは基本的に金融債権を元値の1割にもならない価格で金融機関から購入するわけで、その売却価格が倍にもなれば十分採算がとれるから、まずは面倒な買い手探しより元の債務者に話を持ってくるという。
数億円の借金がサービサーの手を経ることにより、元の借金の半分以下になるのであれば、債務者にとってもありがたいことで、債権を売ってしまった金融機関との間では当然その後の取引はシャットアウトではあるが、そのことさえ我慢すればこんなにありがたいことはない。事業そのものが継続し、利益を出せるとなると新たな融資先の見つかるという。
ここで顧問税理士の役割だが、当初の借金返済のための新たな融資先金融機関を探すような努力は避けるべきだという。つまり、謝金を返済するために借金を繰り返すことは、サラ金常用者が多くのサラ金に借りまくるのと同じで、決して完済するkとができず、最後には復活できる道も閉ざされてしまうことにもなるという。
従って、銀行に借りた融資が返済するための新たな融資先を探すのではなく、その債務をどうしたら一番いい方向が出るのか、顧問税理士として十分考え、顧問先が破産することのないよう許されている最大限の対策を探すべきだという。借金を返すために新たな金融機関を消火するようなことはすべきでないとのが同氏の結論。
同氏は聞くところによると、1年のうち364日、つまり元旦だけが休みで、それ以外は企業の救済のため全国を走れ回っているという。数年前に朝日新聞に投書し、「中小企業の倒産には税理士に責任がある」と主張。全国の税理士からかなりのブーイングをもらったが、その後の同氏の誠実な仕事ぶりに、今では同氏のファンも数多いという。
とにかく、これから迎える大不況も、「少子高齢化が止まらないかぎり、市況回復はない」と言われるほどだから税理士先生の顧問先に関するサービスがこれまでの帳面付けから税務申告書の作成だけでもちろん終わることなく、顧問先企業が将来を見据えた運営ができるようアドバイスをしていただきたいものだ。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。