首都圏で事務所を開いて40数年、後継と見込んだ税理士に承継するタイミングを失い、事務所は枯れた。
とは言っても、古くからいる職員が担当する顧問先は細々ながら、記帳代行と税務申告で持ち堪えている。
しかし、それらの職員も60代後半になり、毎日事務所に出勤する体制は採れなくなっている。
それならさっさと承継すれば良いだろうと、外野から声も聞こえてくるが、事務所を譲ることができない。
そう、事務所の経営権を譲ってしまうと、税理士としての立場がなくなり、無職の老人になってしまう。
もちろん、歩くときも歩幅は年々狭まり、まさによちよち歩くにも見えるほどになっていることも自覚。
病院通いする際に自転車を利用しているが、走り出す時に脚が上がらずに転倒しそうになることもある。
それでも、午前中は事務所に出て、職員の報告を聞き、昼食は自宅で取り、その後暫し昼寝をする。
そんな毎日だが、90歳を超えた今、真剣に事業承継を考え、情報収集するが、あと一歩が踏み出せない。
税理士のまま、人生を終えたいのだが、事務所がなくなれば、税理士でなくなると考えてしまう。
同時に税理士として十分責任を果たすことができているかと、自問自答するが、答えは、そう否だ。
それでも、辞めたくない、性としか言いようがない。そんな大ベテランの告白を聞く、仕事だからできる?
今回の大先輩の話は、税理士にある意味共通する命題と思うし、率直な訴えを聞けた記帳な時間だった。
事業承継・M&A支援室長大滝二三男
90歳を超えた大ベテラン税理士の悩み?
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