税理士稼業50年を超える方から連絡が入った。
5年前に私のセミナーに参加され、個別相談。
その後、事業承継の具体的な条件を訊いた。
築40余年のマンションにある事務所購入が条件。
さらに、ご本人は死ぬまで事務所に出ると言う。
その時のお歳は、なんと85歳を超えていた。
今回、数年ぶりに携帯に連絡が入った。
早速、事務所に伺うと、さすがにお歳。
昼食歩いて5分の自宅で取り、一時間昼寝。
午後2時過ぎに再び事務所に、4時には帰宅。
そんな習慣だったが、今は寂しいと吐露。
というのも、この春に愛妻をうしなった。
85歳、膵臓ガンであっという間に亡くなった。
家を守り、空気のような存在がいなくなり、
先生の心にぽっかり穴が開いてしまった。
仕事にも気が入らなくなり、承継を決意。
知人と交渉したが、上手く行かなかった。
そこで、私の事を思い出したというわけだ。
お話を伺っているうちに、候補者が浮かんだ。
その候補者も数年前に、愛妻に先立たれている。
子弟が税理士なので、事務所に送り込める。
所長となれば、事務所経営のコツも掴める。
他人の飯を食える絶好の機会をでもある。
老所長の寂しさもわかるので、最適な相手。
90歳を超える所長から、正式な要請を受ける。
早速、候補の税理士に連絡、答えは、YES。
これほど速く決まったのは、異例。
それは、老所長の心に響いたからに違いない。
愛妻との別れが、引退の道筋をきめたわけだ。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男