税理士法人制度がスタートして、15年。
制度開始当初の創立者の多くが、代表社員をバトンタッチ。
承継者が代表の地位に着いて、さらに規模の拡大を続けている。
そんななかで、東京や大阪を発祥地とする法人が地方都市に進出。
地元の人材を活かす法人もあれば、本部から管理者を派遣する例も。
また、地方都市で規模の拡大は難しいと、東京を目指す法人も増加。
このケースでは、東京事務所の所長は、本部から派遣されるのが普通。
しかし、資格者以外は、東京で人材を確保することになる。
この人材を確保がまた難題。
地方出身者が多い東京だが、なんと地方の税理士法人には、理解がない。
すぐに撤退し、長く勤められないのではないかとの、懸念もようだ。
ただでも、会計業界に人が来ない状況が続き、個人事務所でも人不足。
そこに地方からの法人が進出しても、人材募集は極端に厳しい状況。
本部からの社員税理士が、こんな環境を打破することが要求される。
ここをクリアしない限り、東京進出は雲散霧消してしまう。
実際に東京進出した法人が、社員税理士だけで運営されているケースも。
東京支店というより、社員税理士1名の駐在所といった法人もある。
それで十分だという創業者もいるが、家族でない限り、長続きはしない。
地方の本部では、ナンバー2、3に位置していた税理士が、所長に就任。
2年間支店経営で拡大を目指したが、あえなく夢破れ、退職。
東京支店は、その資格者が退職した時点で、後継者が現れず、閉鎖。
そう、いつの間にか、東京事務所がなくなっているケースが多い。
それでも、東京を目指す人が多いのは、やはり地方が疲弊しているからか。
事業を拡大できる規模はあるが、仕事が地方には十分ない。
成功者は、更なる事業の強化を図るため、東京を目指す。
この流れは、止めようがない。
数年後には、税理士業界も大幅に変わるといわれるが、どう変わるのか?
人材不足を解決する有効な手段をもった事務所以外は、アウトだろう。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男