数年前の通達改正で、税務調査への税理士の立ち合いが厳格化された。
それまでは、調査初日の挨拶に臨場すれば、終日立ち会いは、先生は免除。
事務所の担当者が、調査官の質問に受ければ良い゛慣習゛であった。
しかし、現状は、終日税理士が対応するよう義務付けられている。
現在進行形の承継案件でも、税務調査の立ち会いで一時ストップもある。
先生の中には、十数年も調査対応は担当の職員任せも見受けられた。
というより、多くの先生は初日と最終日の挨拶だけというのが主流だった。
それだけに立ち会いの義務付けで、面倒に思う先生も少なくない。
そのうえ高齢という条件を付けると、事務所を止めたいという先生も。
実際に某先生は、初日の挨拶もほとんどしない、その言い分は、
「職員には調査対応ができるよう指導してきた」
「実務を一番分かっているのは、担当者だから、彼らで十分」
「だから、自分が行くことなど考えられない」
「義務付けるなら、自分が税理士を辞める」
実際にこの事務所では、すべての税目に職員が精通。
経営指導も展開し、職員一人当たりの売上も1200万円を超えている。
税務調査にも担当職員が対応し、修正申告はあっても、更正はなし。
「担当者で調査に十分対応ができており、なにも税理士は必要ない」
ちょっと偏屈な先生だが、実際に調査対応拒否を理由に承継を決意。
承継された先生をも゛経営指導゛して、無事税理士資格を返上。
もちろん、対応拒否だけが理由でなかっただろうことはわかる。
しかし、ご本人の口からは、それ以外の理由はほとんど聞かれなかった。
事業承継の動機は色々あるが、これからも、こんな理由で税理士資格を
返上する先生が出てくるのだろうか?
事業承継支援室長
大滝二三男