20数年前仕事帰りに、珍しい地酒を 揃え、大人気になった焼き鳥屋に寄った。
なんと、おじさんばかりでなく、若い女性たちがも行列を作っていた。
たまたま独りだったので、順番待ちすることなく、カウンターに。
取り敢えずビール、その後主人の薦める地酒の冷やを注文。
ぐい飲みで正一合を飲み、追加を頼むと、隣に居合わせた紳士から一言。
ある銘柄を薦められ、それを注文、確かにうまい酒だと感心。
良い地酒を教えてもらい、礼を言ううちに、会話も進む。
この人、町で一番立派な会計事務所を経営する先生であることを知る。
帰りの一杯は、やはり仕事を離れたい気持も強く、こちらの正体は明かさず。
お相手も酒の話に終始し、頃合いを見て、勘定を済ませ、お先に失礼。
この先生の事務所、私の家から駅までの通勤ルートの途中にある。
そこで気づいたのが、事務所の業務が始まる前に職員が周辺を掃除。
毎日、事務所の回りを掃除するのだが、ゴミを拾うだけではない。
職員はゴム長を準備万端、まず事務所前の車駐車スペースを掃除。
その後、道路のゴミや泥などもすべて水を流して、きれいさっぱり。
これが数十年続いているのだが、先生の姿はなく、監督は奥さん。
9時には事務所の業務が始まるのか、8時50分くらいには清掃終了。
掃除がされた後の事務所の前を通るのも、実に気持ちの良い。
そんな先生も今では飲み屋で会うことはなく、散歩姿も見られない。
たまに奥さんと連れだって、車で病院通いをする姿を見ることも。
こちらを見てもその目は焦点が定まらず、歩くのも辛そう。
そんな先生の事務所、毎朝の掃除は今日も続いている。
事業承継支援室長
大滝二三男