後継者がいないということで、電話があったのが一昨年の4月。
その電話で、お会いして話を聞くことになり、4月15日に彼の地に。
待ち合わせの場所は、何と事務所近くの税務署のロビー。
事業承継の仲介を始めて、税務署内で先生に会うのは初体験。
事務所の内情を聞き、具体的な対策を提示して、初面談は終了。
4月30日、2回目の面談。職員でもある息子さんも同席。
承継候補として、税理士法人を紹介。パンフレットをご自宅に郵送。
5月13日、3度目の面談。事務所の職員の待遇等について、質問に答える。
6月5日、4度目の面談。税理士法人の支店化を説明。
6月14日、5度目の面談。具体的な契約についてのやり取り。
6月17日、契約書案をご自宅に郵送。
6月24日、6度目の面談。息子さんんも同席し、契約書内容を検討。
6月30日、職員も含め、契約内容を了解されたとの連絡あり。
7月9日、7度目の面談。税理士法人の社員税理士就任を了承。
7月24日、承継候補の税理士法人を訪問。代表者と初面談。
8月25日、税理士法人の本部にて、契約完了。
9月26日、税理士法人の代表者が、彼の地の事務所を訪問。
10月1日、先生を社員税理士とする税理士法人支店開設。
実に10度の面談のほとんどを、先生の事務所の地で行ったことになる。
この間、亡くなる原因となった病気には一切口にされなかった。
しかし、彼の地を訪れる際には、一度お会いする約束をは果たせなかった。
承継後1年を経過した昨年10月に無事1年過ごせた旨の電話あった。
その時に、病気のことも話されるはずだったに違いないと思う。
それから2ヶ月、彼の地の支店を承継した法人の代表が訪問。
先生はガン治療を続けていたが、年内は持たないとの連絡が入る。
お見舞いに行こうとしたのだが、すでに意識がないという。
そうこうしている内に、新年を迎え、そして訃報が届いた。
都内以外で、これほど多くの回数面談した例は数少ない。
慎重な先生というより、几帳面に事務所の行く末をチェックされていた。
ご自分の死期を知り、職員たちの生活も考え、承継を決められた。
実に細かい内容までチェックされたこと、今は納得だ。
支店の繁栄と先生のご冥福を祈る。合掌。
事業承継支援室長
大滝二三男