後継者対策に悩む税理士がいかに多いか、この仕事をしているとしみじみと分かる。
先生とゴルフをしているときに、携帯電話が鳴り、合格の通知。
それからの先生のプレーは、まあ、心ここに非ず。そんな場面と遭遇したこともあった。
この週末にも、休みにもかかわらず、「合格者に息子の名前がなかった」と落胆の電話も。
「もう、あきらめて事業承継をおねがします」。やはり元気がない。それも当然か。
息子さんに継いでもらいたいというのは、どこの親でも同じだろう。
しかし、税理士事務所が資格ビジネスだけに、経営者としても道を息子さんは歩けない。
苦労して気づいてきた、信頼と信用のビジネスを赤の他人に任せねばならない。
何とも厳しい現実が待っているわけだ。
それでも、来年の四月からは税理士法が変わり、勤務税理士としてお客さんを持てることに。
所長としての仕事は他人に任せ、同じ事務所で自分ためだけに税理士業務ができる。
こうなると、経営者を卒業しても、税理士として仕事を辞めなくてもいいことに。
もちろん、この改正は勤務税理士が、補助税理士として客を持てない現状を変えるもの。
若い勤務税理士のための改正とも考えられるが、高齢の先生にも福音ともなる。
所属税理士と名前は変わるが、自分でサインをすることができるので、従来通りの対応が可能に。
従来型の事務所であれば、○○税理士事務所内といった形で、個人事務所を立ち上げる。
呼応することで、自らがサインできたのだが、今回の改正で来年からはその必要がなくなった。
今後、後継者がいなくとも、自らの事務所を他人に預けながらも、自分の仕事ができる。
さて結果発表が、皆さんお事務所にどのような変化が起こるのでしょう?
事業承継支援室長
大滝二三男