昨年暮れ、同じシステムを使っている同年輩の税理士が事業承継の交渉に入りました。
その途中で、お金のことで、話が中断。
オレ、「そんな金は要らない。お客さんに満足してもらえるなら、それだけで十分だ。」
オマエ、「いや、これまで築きあげた事務所を、ただでもらうわけにはいかない。」
オレ、「女房には十分なことをしてあげてきたし、老後のためにも十分蓄えている。」
オマエ、「後継者のためにも、こんな事例を残したくない。払うものはしっかり払う。」
オレ、「そいつがうらやましいんだ。俺は後継者を育てることができなかった。」
オマエ、「それは偶然のこと。いい人材が残ってくれ、組織ができたんだ。」
オレ、「自分のことだけを見つめてやってきたのが、最後に、こんな事態になるなんて、くそ。」
オマエ、「俺だって、こんないい形ができるとは考えてもいなかった。」
こんなやり取りが続いたのだが、最終的に経営統合して盤石の体制が出来上がった。
たとえ世間相場のような形で、承継の対価は支払われなかったのだが、先生も大満足。
それまで、だんなさんの言う通りに、自分の意見を言わなかった奥さんも笑顔、また笑顔。
確かに、奥さんにはそれなりの賃貸用の不動産もあり、老後は安泰。
お子さんができなかったが、親戚から養子を迎え、これまた老後の面倒を見てもらえることに。
こんな話は、たとえ報酬なしでもやりがいはありますね。
事業承継支援室長
大滝二三男