税理士事務所は現金商売ですし、仕入れもないし、赤字になることがあるんでしょうか?
赤字経営で税理士事務所を畳んだという話も、取材記者の当時は聞くことはありませんでした。
しかし、実はあったんですね。噂では事業に失敗したから、あの事務所は売りに出たとか。
この事業承継の仕事を始めてから、実は会計事務所以外の仕事に手を出して、破綻した人はいます。
事実、そんな元気な50代になるかならないかの税理士さんの事務所の事業承継を手助けしました。
この先生、実は譲り受け候補として登録もし、話をつないだことがあります。
結果として、自分の事務所から出た若い税理士が引き受け手となり、ご自身は引き下がりました。
そうこうしているうちに、ご自身の事務所を譲渡したいという話が舞い込んできました。
売上は1億円程度、手付として5千万円、残金は分割でという話になりました。
いざ事業承継の実務に入ると、その売り上げは1億円には到底及ばず、7千万円程度でした。
引き受けた事務所は、当然契約金額の減額を要望しましたし、引き渡した先生もそれに応じました。
そうこうしているうちに、引き渡した先生の下に良からぬ輩から電話が入るようになりました。
実は、銀行からの借金では足りずに、街金やヤミ金にまで手を出していたそうです。
何と、税理士事務所の経営だけで我慢をしていれば、”ヤミの紳士”に負われることはなかったのに。
そうなんです。税理士が事務所運営だけに精進していれば、資産も確保できます。
しかし、もうひとつ赤字になる原因があるのです。
それは奥さんの浪費癖。先生のクレジットカードを渡していたため、奥さんが使い放題。
趣味に毎月100万円単位でクレジット払い、年間で1000万円を有に超えること10数年。
事務所の売り上げの10%以上も奥さんが勝手に使い、先生もそれを許していたという。
ここ数年、売り上げが減少し、自由になるお金も底をつき、ついには事務所を処分する羽目に。
もちろん、先生はまだ現役を続けたいということで、引き受け手を探し、何とか業務は継続。
しかし、奥さんの浪費癖を継続させることは不可能。言って聞かせ、クレジットカードも回収。
果たして、これで上手くいくのかどうか、まだまだ不安は残る。
それにしても、税理士事務所の破綻の原因が、奥さんだとは開いた口が塞がりませんね。
本当にこんな実話が、承継の仕事をしていると飛び込んでくるんですね。
中小企業の社長と同じことが、税理士の周辺にも起きていることが分かります。
事業承継支援室長
大滝二三男