職員のための、職員による、職員の会計事務所。
実に多いんですね。
所長の老齢化とともに職員も老齢化。
中には75歳の所長、71歳と69歳の職員2名といった事務所も。
しかも、75歳の先生はほとんど仕事をせず、
71歳と69歳の職員が顧問先回り。
先生は引退を考えて、職員に話をしたところ、
つい最近システムを5年リースで入れ替えたことが判明。
5年間のリース代金を捻出するため、
事務所を継続することになったが、身体は、頭は大丈夫と不安。
これほどの事務所ではないが、勤務30年以上の職員ばかりで、
所長が管理もできない状況になっている事務所もある。
こちらなどは相談にきたものの、必要な資料が提出できず、
事業承継相手を探すにも途中で暗礁に乗り上げる始末。
とにかく、事業承継の御相談の中で一番の保守派は職員。
反対するのはもちろん、中には移籍しますと脅す職員も。
自分の立場がどうなるか、不安になるのは分かるが、
資格者たる所長がギブアップしているの、承継にハンターイ。
これには所長の家族もあんぐり。「お父さんもういいでしょう」
との妻の言葉で、やっと事業承継相談がスムーズに。
職員が反対するには身分保障などそれなりの理由もあるが、
先生の決断に至るまでの苦しみは考えが及ばない。
とにもかくにも、経済情勢が混乱している中で、
中小企業の力強い味方である税理士も大きな曲がり角に立たされている。
事業承継支援室長
大滝二三男