お所長が70代後半或いは80代の事務所から、依頼を受けることがある。
所長としてはもう体が言うことを利かない、そろそろ引退したい。
後継者がいれば、すぐにも交代したいが、そうは問屋が卸さない。
そもそもそれだけ長く所長を続けたのは、後継者を育てなかったから。
もっとも、業界的には、職員が資格を取れば独立するのが慣行。
少々お客を暖簾分けをして、前途を祝す、後は努力次第。まあ、頑張れ!
そんなことを繰り返して、気がついてみたら、高齢の職員が残るのみ。
自分は辞めたいのだが、職員の生活を考えると、辞めるに辞められない。
職員と所長はおよそ20歳ほど離れているのが、普通か?
こうなると、先生70歳で、職員は50歳、子供の教育にもお金のかかる年齢。
安定した経済基盤が壊れるのは、何より怖い。
さらに、仕事にも力を発揮できる頃なので、環境の変化は考えづらい。
自分と年齢の近いまたは、年下の所長になれば、衝突もあり得る。
もし、新所長と相性が悪ければ、転職も考えなければならない状況にもなる。
しかし、中年の税理士事務所職員優遇する職場は、早々見つからない。
自分が担当するお客さんとともに、事務所を移籍するしかない状況。
それも潔ぎ良しとしないし、所長の顔に泥を塗りたくない。
とは言うものの、やはり現状を何とか維持したいというのが、本音。
所長が事業承継することに理解はできるのだが、賛成したくない。
自由に仕事をこなしてきたそのやり方も、犯されたくない。
勝手な言い訳だが 、定年近くになってのわがまま、許してほしい。
そんな声が聞こえてきそう、実際にそのような要望が聞き入れられた。
80歳を越え、体も不自由になっている先生はもうひと頑張り。
ちなみに、60代後半の職員が資格がお二人、その反対で交渉はお仕舞いでした。
つい最近の事例、本当にご苦労様ですと、思わず頭を垂れた次第。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男