昨年1月から今年1月までの処分のうち、税理士業務の禁止は13件。
前年および前々年がそれぞれ5件だから、一挙に2,6倍になった。
官報に掲載された処分理由では、その個々の具体的内容はわからない。
脱税に荷担し、地検から告発された場合などは、処分対象にはならない。
というのも、在宅起訴をされたときなどは、自らが資格を取り下げる。
つまり、税理士であれば処分されるが、税理士を返上すれば処分できない。
これらの゛犯罪者゛を加えると、禁止処分対象者はもっと増えることになる。
今回の官報を見ても、新聞の脱税報道にあった税理士名は出てこない。
官報に載った禁止処分だが、これは税理士資格剥奪するものではない。
実際には3年間は、税理士業務を禁止するもので、資格はそのまま。
処分後3、4年が過ぎ、゛更正゛したとなれば、支部登録を請求できる。
この請求に対して、税理士会は資格審査をして、登録の是非を決める。
脱税幇助で告発され、有罪判決を受けた先生でも、5年後には再登録。
この先生の場合は、無罪を主張したが認められず、自らが資格を取り下げ。
4年後に再登録したが、税理士会は認めず、5年後にやっと認められた。
しかし、禁止処分の場合は、3年経過後には再登録したがの申請が可能。
高齢で゛再起゛を望まない先生は、禁止処分を契機に引退ということもある。
50代で処分を受けた場合には、しばらくは゛休憩゛ということも。
会計法人を持っていれば、こちらの代表者として頑張ることもできる。
この場合は、税務を他の事務所に委託する必要がある。
税理士法人であれば、税務は一切行わず、会計や別会社でコンサルに従事。
代表社員税理士が個人として処分されても、法人は税務業務はこなせる。
しかし、一時的には代表社員を降りることが必要になるのは、当然。
それにしても、禁止処分者が倍増とは、なぜだろう。
税務当局も税理士監理官を増やし、税理士の非違追及に躍起になっている。
その背景には、国税OB税理士への顧問先のあっせんの禁止があるという。
つまり、税理士は国税職員の゛天下り先゛出はなくなったのだ。
そうなれば、税理士を守る、甘やかす必要はない。
適正納税に貢献する使命を持つ税理士に、その役割を担ってもらう。
そのための厳しい監視体制なのかもしれない。
事業承継支援室長
大滝二三男