親族で税理士法人を設立するケースは、全体の税理士法人の中でもかなりのウエートを占めています。
子供も税理士になったことを知った同業者のだれもが、後継者ができたと、大いに羨むところです。
個人事務所のまま、息子さんが勤務税理士となっているケースもこれまた数多くあります。
しかし、息子にも経営者の道を歩ませたいと、2人でで税理士法人を設立します。
親父が言うのことだから、しようがないと、一応は税理士法人の社員税理士として勤務する。
本音は、事務所経営そのものには関心がない。というより、自分にはできないと感じている。
父親が代表社員税理士になっているのですが、ある時代表の座を譲りたいと話す。
もちろん、父親は自分の意思を受け入れ、すっきりと代表になってくれるものと思っていた。
ところが、社員税理士ではあるものの、経営は父親任せにしてきた息子はこれには同意せず。
なんと、「自分は経営者の道は嫌です。勤務税理士として働いていく」と言うのです。
これには、父親もがっくり。ついつい、母親に当たり散らすような言動も。
最終的には、息子の意見を入れた代表社員である父親は、経営を任せられる相手を探した。
その結果は、これまでに事業承継の経験のある税理士法人との経営統合の道を選んだ。
これには、息子も大歓迎。経営責任を逃れた息子は元気に通常業務に励んでいるという。
どんな業種でも同じだが、経営者に向かない後継者見入れば、それを望まない後継者も。
そんな贅沢な選択ができるようになったのも、税理士法人制度のおかげ。
だが、父親の心は、経営統合した後も、すっきり晴れないのは人情というものだろう。
事業承継支援室長
大滝二三男