税理士会の各支部では、相互扶助制度を設けて、お客さんが困らないようにしています。
もしも顧問税理士に万が一のことがあった時に、所属支部のメンバーがそれをカバーする制度です。
具体的には、各支部でしっかりとした制度を設けているところもあれば、そうでないところも。
そう、6年ほど前に、当支援室が事業承継のお手伝いをするという媒体を出しました。
東北のある会の支部長から、「我々の仕事だから、余計なことをするな」といった電話がありました。
多分、相互扶助がしっかりできている支部からの声だと認識しましたが、そうではなかったようです。
独特のなまり、そして低い地声、私も東北の出身ですので、すぐにそのなまりからどこの地方かわかりました。
そして調べてみました。そこには、支部のメンバーが恩恵を被る制度はありませんでした。
それでは、なぜそのような電話をかけてこられたのでしょう。
多分自己の利益を損ねると感じられたのでしょう。
そうこうしているうちに、その電話の主も分かりました。案の定、だれもが認める”俺が”の方でした。
このような方が、相互扶助の精神で対応しているとは、考えられません。
先日もある支部の状況を知る機会がありました。
事業承継をする税理士は、譲り渡す税理士の1年分の売上の5割を最大として、承継後5年間で支払うことが、支部の約束事となっています。
ところが、事業承継できる税理士が同じ支部にいないということで、近隣の支部の税理士に承継させ、1年後には同じ支部の税理士が承継したというのです。
つまり、近隣の支部の税理士には、相互扶助の制度は適用できないから、その税理士は一切事業承継の対価を支払わず、その上で同じ支部の税理士が承継したというのです。
なんと、小賢しい。
しかも、最終的に承継したのが、亡くなった税理士の所属する支部の役員だったと言いますから、相互扶助精神など微塵もありません。
これからは、税理士業界も不況業種として、厳しい競争が繰り広げられるはず。
支部役員だからといって、安寧をむさぼることはできないでしょう。
正当な競争が待ち受けています。顔だけでの業務には、もう時代が違います。
退場するべき人は、ここ数年ではっきりするでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男