とは言っても、大型事務所の話です。
都市銀行では、M&Aを行う部隊がありますが、最低でも1000万円の報酬を取ります。
ですから、一般の企業の場合、5億円以上の規模でないと収支が合いません。
税理士事務所の平均的な売り上げは3000万円といったところですから、銀行は相手にしません。
しかし、数億円の売り上げがあり、税理士さんと緊密な関係なある銀行は面倒は見ます。
とはいうものの、そのノウハウはありませんから、かなり高めの値付けをします。
報酬のこともありますから、そのような対応をするのですが、これでは税理士事務所は動きません。
日銭商売ですが、決して成長産業ではなく、むしろ不況業種と見るのが一般的です。
それはそうでしょう。顧問先になる企業が年々減ってきており、今後増える可能性はありません。
たとえ、アベノミクスに乗せられて、顧問先とともに海外に活路を見出す事務所は極々少数です。
もちろん、海外では税理士業務はありませんから、公認会計士のようには海外で活躍はできません。
こうなると、少ない顧客を取り合うことになり、生存競争はますます激しさを増します。
こんな企業のM&Aに現を抜かす金融機関はほとんどないでしょう。
ですから、ノウハウなどを知ろうとする姿勢は極めて弱いものです。
したがって、こんな規模の事務所ですが、どなたか買いませんか、程度の仕事ぶりとなるのが普通。
超大型の事務所のM&Aが活発になるであろう数年後、数十年後には多分、彼らも必至でしょう。
でも今は、我々の時代です。ごく少数の事務所の事業承継に精いっぱい努力する、これが王道です。
売り上げ規模を割り増して、事務所の評価を上げることはご法度でしょう。今の税理士事務所は!
事業承継支援室長
大滝二三男