税理士事務所は、自分でもっていると考えている所長も少なくない。
例えば、事業承継に際して、所長が辞めてしまうとお客は半減すると断言する。
果して、本当にそうだろうか?
顧問先の激減理由は所員退職が大半
実際にこの12年間、承継後に顧問先が大幅に減ったのは、職員が辞めた案件。
明らかに辞めた職員が、いわゆる持ち逃げした事例がほとんどで、それまでの待遇に不満。
承継に際して、信頼していない所長が選んだ後継者だから、同じ穴の狢と勝手に思い込む。
待遇が変わらないだろうから、自分の客を説得して、共に事務所を替わろうとなる。
所長が辞めても離脱は些少
これに対して、所長が承継後、すぐに辞めたケースでは、所長の″期待″は見事裏切られた。
そう、半減することなく、数%、それもかねてより、事務所を替えようとしていた客。
所長の引退が絶好の機会、替わる理由ができ、喜んで契約の破棄を通告。
まとめ
そんな事務所を承継した場合、後継者は所長の話を聞くより、従業員を重視すること。
通常、顧客担当を重視して彼らの話は聞くが、内容業務担当者は軽視し勝ち。
だが、彼らの話を聞くことで、事務所事情が的確に把握でき、承継作業はスムーズになる。
確かに、″駐留軍″が思いのままに事を進めても、職員が動かなければ、承継は上手くいかない。
当然、そんなことは分かり切っているはずだが、職員の静かな抵抗には、我慢ができない。
そこで、「俺の言うことに、黙って従え」と、強権を出動してしまうことなる。
これでは、後継者の負け。従業員との溝は深まるだけで、そのうち退職者が続出。
まさに失敗の連続。これを避けるためには、職員との意思の疎通を常に図ること。
言葉を発することなく、言わなくても分かるだろう、今はそんな時代ではない。
はっきり言うべきことは言い、聞くべきことはしっかり正面から受け止めましょう。
今回は少々教訓如くなりましたが、これも多くの事例から教えられたことです。