70代の税理士さんが、数年後には事務所の引き継ぎを考えている。
そのため、職員には自らの業務を確実にこなすことができるよう、日々指導。
開業以来、職員は担当の顧問先の社長と、堂々と渡り合えるよう鍛えた。
決算説明にしても、毎月数字を把握しているのだから、経営問題も分かる。
単純に税額の説明では、日々経営に苦労している社長も納得しない。
もちろん、税理士が出て行き、丁寧な説明をすれば、社長も我慢もする。
しかし、事業の拡大を目論む経営者には、数字の説明だけでは満足しない。
中小企業の孤独な経営者が、相談相手として信頼するのは、税理士。
その税理士が鍛え上げた職員であれば、顧問先の経営者にも信頼される。
職員にいつ思いを告げるべき?
今回相談を受けた70代の先生は、職員にいつ思いを告げるのかということ。
職員には日頃から、自分が決めたときに引退し、直ちに事務所を去る。
さらに、自分が決めた税理士に後を任せるので、覚悟するように言っている。
それでも、後任の税理士と職員との相性が合うかどうか、不安はある。
合わなければ、新所長も居場所がなくなる可能性もある。
そうなれば、事務所も瓦解してしまう。
そうなる前に、職員に話をした方が良いと思うが、それは何時、との相談。
まとめ
一般的には、先生が事業承継の相手を決まり、その方法も決まった時。
社長が後に引けなくなり、承継日も決めた時が、実務上は一番理想的。
所長が悩んでいるときに話をすれば、顔にも出るから、職員は不安になる。
ですから、すべてが決まってから話すのが、これまでの例では圧倒的に多い。
今回の先生のように、職員を期待あげている事務所であれば、不安もなし。
先生の教えを守り、後任の所長を盛り立てて、精勤し続けるだろう。
相談を終えた先生の顔から笑みが漏れていたこと、当方も喜びだ。